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ポーランドのノーベル文学賞詩人 チェスワフ・ミウォシュの初邦訳詩集を手にして

チェスワフ・ミウォシュ photocErazm Cio?ek/The Polish Book Institute

20世紀の2つの悪夢と冷戦を体験
曳舟川栄一

生誕100周年を記念

 1980年にノーベル文学賞を受けた、現代ポーランド文学を代表する詩人の『チェスワフ・ミウォシュ詩集』(関口時正・沼野充義編)が、昨年末に出版された(成文社)。

 ポーランド政府の助成金を得て、ミウォシュ生誕100周年を記念する2011年の内にと尽力され、なんとか出版されたもの。これまで、ポーランド文学関係者等によって断片的に翻訳され、詩人たちの間で読まれてきたミウォシュの作品であったが、これをまとまった形で読むことがようやく可能になったのである。

 14人の翻訳者によってそれぞれ選ばれた作品が翻訳者別に収録されており、すべて、ポーランド語からの翻訳である。

 詩人の長い人生の様々な時期から選ばれた作品は90篇を超えるが、膨大なミウォシュ作品群からすればごく一部である。詩人ミウォシュの紹介は、始まったばかりと言うべきであろう。

 ミウォシュは、リトアニア系ポーランド人。生地は、当時ロシア帝国領であった。青春をヴィルノ(現ヴィリニュス)で過ごし、若くして詩才を認められたが、1939年のナチスによるポーランド侵攻により、彼の文学活動は地下での抵抗運動となった。

 第2次世界大戦後、ポーランド人民共和国が成立し、ミウォシュは外交官としてアメリカやパリのポーランド大使館に勤務するが、やがて51年にフランスへ亡命、スターリニズムの中で自由を奪われていく知識人たちの姿を描いた『囚われの魂』(邦訳96年、共同通信社)を出版した。

 さらに60年にアメリカに移住、大学でポーランド文学を教え、69年には大部の『ポーランド文学史』(邦訳2006年、未知谷)が出版された。しかし祖国ポーランドでは、彼の作品を読むことは固く禁じられていた。

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